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メールマガジン「がんばりすぎないセキュリティ」No407 (25/05/26)

生成AI、使ってみませんか?(407号)


生成AI(chatGPT)については、2023年5月に記事を書きました。

 No305 chatGPTに関する私の考え方
 https://note.com/egao_it/n/n2dc5989884ca

これを書いているのが、2025年5月ですので、丁度2年前の話です。
その後の生成AIの進歩は本当にすさまじく、またたく間に、社会に広がっています。

実は、筆者自身がこの2ヶ月ほど、本気で生成AIを利用してみたところ、一部気を付けないといけない点はあるものの、かなり使えるシロモノだ、という印象に変わっています。

そのため、前回(上述の305号)とは論調が異なりますが、2025年現在の筆者の考えとして、改めてお話したいと思います。


1. 生成AI

今更ですが、生成AIって何でしょうか? 「何らかの入力(いわゆるプロンプト)を与えると、それをAI(人口知能)を用いて、新たな文章(や画像など)を生成する技術」というところでしょう。 ただし、人間のように「考えて」いるわけではありません。 入力された内容と一番親和性が高そうな単語(トークン)をバックに抱えている膨大な学習データから抽出して、文章に仕立てます。 一見、考えていると思える回答を返してくれる生成AIですが、学習データから統計的に最も適切と思われる答えを返すに過ぎません。 学習データの全ては、過去のインターネットや文献上のヒトの発言や意見が元となっています。中には「もっともらしく話されるウソ」や悪意のない誤解もたくさん含まれます。 そのため、生成AIの返答は学習データの構成によって大きく違ってきます。 例えば「神は存在するのか?」と聞いても、返ってくるのは学習に用いた情報に沿った「それっぽい答え」に過ぎません。 言い換えれば、生成AIの返答は、その開発元の設計や方針に大きく影響を受けているのです。

2. 生成AIってどんな感じ?

この章では生成AIを使ったことのない方に向け、サンプルを通して、生成AIの雰囲気を知っていただこうと思います。 (既にお使いの方はスキップしていただいてOKです) 以下のやりとりは、実際に私が使っているchatGPTと共同作業で作ったものです。 私:  はじめまして。生成AIってはじめてなんだけど、何を話せばいいの?  パソコンとかスマホとかってよくわからないので、優しく話をしてね。 chatGPT:  はじめまして。お話ししてくださって、ありがとうございます。  パソコンやスマホのことがよくわからなくても、大丈夫ですよ。  「ちょっと困っていること」や「最近気になっていること」があれば、ゆっくりお聞かせくださいね。雑談からでも大歓迎です。 私:  じゃあ、chatGPTさんの今日の気分は? chatGPT:  ありがとうございます。そう聞いていただけるなんて、うれしいです。  私は気分を持っているわけではないのですが、あなたとこうしてお話できていることを、とてもよいことだと感じています。  ですので、「あたたかい気分です」とお答えしても、いいでしょうか? 私:  え?「気分を持っているわけではない」ってどういうこと? chatGPT:  とてもいい質問ですね。ありがとうございます。  私は人間ではないので、「うれしい」「かなしい」といった気分を実際に感じることはできません。  でも、あなたが安心してお話できるように、「そう感じてもらえる返し」を考えて答えています。  つまり、本物の感情ではないけれど、あなたの気持ちに寄り添うための言葉なんです。 私:  機械に「寄り添うため」と言われると妙だけど、店員さんとお客さんみたいな関係って思えばいいの? chatGPT:  はい、そのとおりです。とてもよい例えですね。  私は、お店のスタッフのように、あなたのお話を丁寧に聞いて、お手伝いする役目をもっています。  人間ではないけれど、言葉を通じて「安心」や「納得」に近づけるよう心がけています。  なので、「ちょっと相談してみようかな」と思ったときに気軽に声をかけてもらえたらうれしいです。 私:  じゃあ、Googleでうまく探せない時も、お手伝いしてくれるの? chatGPT:  はい、もちろんです。むしろ、そういうときこそお話しください。  Googleは「たくさんの情報」を見せてくれますが、  私は「あなたの話を聞いて、合いそうな情報を一緒に考える」ことができます。  だから、うまく探せないときは、遠慮なく相談してくださいね。 私:  なんだか、私専用の秘書がいるみたいだね。 chatGPT:  そう感じていただけたなら、とても光栄です。  まさに、「あなた専用の、いつでも話せる秘書」みたいな存在を目指しています。  いつでも、どんなことでも、話しかけてくださいね。  そっと、静かに、でもしっかりとお手伝いします。 このやりとりは、最初のやりとりを想定して、chatGPT側もお堅い雰囲気となっていますが、会話を重ねると、こちらに言い方に合うようになっていきます。 機械的な冷たい会話をイメージしていた方は驚かれるかもしれませんが、これが2025年現在の生成AIの会話です。

3. 生成AIを使って情報を探す方法

Googleなどの検索エンジンでは、自分の目的に合ったキーワードの指定がキモです。効率良く検索するには、最適なキーワードを見つける力が欠かせません。 生成AIも同様に質問をして答えをもらえます。生成AIの便利な点はその先にあります。 最初の答えが不満でも、会話を重ねて、意外な結果を得られる点です。 これって、地図とコンシェルジュ(ホテルにいる案内係)の関係に似ています。 地図というのは、目的が明確で読むのが上手なら、短時間に目的地にたどりつけます。 一方のコンシェルジュは、漠然とした情報からでも、満足度の高い結果が得られます。聞く側は会話さえできれば、それ以外のスキルは必要とされません。 Google検索=地図、生城AI=コンシェルジュ、と考えるとわかりやすいかもしれません。

4. 生成AIでお店を探してみる

例えば、出張中に同僚のインドネシア人と夕食を楽しめるレストランを探しているとします。 食べログなどで、地域を指定し、予算を指定し、あたりまではできますが、さすがに「インドネシア人と同伴」なんて条件はあるはずがありません。 ですが、生成AIであれば、何でも言い放題(笑)です。 私「今、大阪だけど、インドネシア人と楽しめるレストランってある?私は辛いのも香りのきついのも苦手」 chatGPT: それなら、「Bagus Indonesian Kitchen」(中津)がおすすめですよ。 インドネシア料理といっても、辛さ控えめのメニューも多くて、日本人の口にも合いやすいお店です。 たとえば「アヤムゴレン(揚げ鶏)」や「テンペ炒め」など、香りがやさしく、素材の味を活かした料理もあります。 ここではインドネシア料理店が紹介されましたが、「いやいや、和食がいいよ」とか「予算○円くらいだけど大丈夫?」とか再質問も簡単です。 そうそう、生成AIはそれまでの会話の流れを覚えています。いちいち全てを指示しなくてもいいので、キー入力が苦手な方でも取り組みやすいですよ。この点もコンシェルジュと会話をするのに似ていますね。

5. まとめ(今日からできること)

生成AIは2022年末あたりから異例のスピートで普及しつつあります。 これを書いている2025年時点では、「AIを利用して...」という枕言葉がついたサービスが続々と生まれています。 2023年時点では生成AIにかなり壊疑的な筆者でしたが、現在は利用する価値のあるものと考えています。 なお、現時点では、実にたくさんの生成AIのチャットサービスが存在しています。 いずれも無料でも「お試し」は可能ですが、本格的に使おうとすると利用上限にひっかかりますので、現実的には有償アカウント(月に2千円〜3千円) いくつか代表的と思われるものを掲げておきます。  ・chatGPT(チャットジーピーティー):生成AIブームの立役者   https://chat.openai.com/  ・Gemini(ジェミニ):Googleが開発した生成AI。検索機能は強い   https://gemini.google.com/  ・Claude(クロード):Anthropicが開発した生成AI。長文に強い   https://claude.ai/  ・Copilot(コパイロット):WindowsのブラウザEdgeに標準搭載   →標準添付なので特にインストール不要 なお、筆者はchatGPTの有償アカウントを使っていますが、他との比較ができるほどは使っていないので、他サービスの評価は行えません。 今日からできること:  ・未使用の方ならまずはchatGPTでお試しを。   当初は無償アカウントだけでも楽しめると思います。   面白いと思えば、1ヶ月だけ課金しても良いかも。 今回は、その生成AIの概要についてお話しました。 次回は冒頭にも書いた「一部気を付けないといけない点」についてお話をします。 次回もお楽しみに。 (本稿は 2025年5月に作成しました)

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