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メールマガジン「がんばりすぎないセキュリティ」No403 (25/04/28)

Windows11パソコンを買い替えるには(403号)


前回は、Windows11対応となると、買い替えが現実的だろうというお話をしました。

 Windows11対応には買い替えが現実解(402号)
 https://note.com/egao_it/n/n9c5ad1b56002

では、具体的にどんなパソコン買えばいいの?となりますよね。
今回は購入指南というわけではありませんが、いくつか購入時のヒントとなることを書こうと思います。

1. デスクトップかノートか

2025年現在、パソコンといえばノート型が圧倒的で、デスクトップ型を求める方はごく少数(大きな画面を使いたい、高性能を必要とするなど)です。 JEITA(電子情報技術産業協会)の統計を見ても、出荷台数の9割弱がノート型です。 ですので、おそらく皆さんが購入するのもノート型になるだろうと思いますが、デスクトップ型とノート型が違いくらいは知っておいて損はないでしょう。 というわけで、両者の違いについてお話します。

2. デスクトップ型の特徴

デスクトップ型というのは、パソコン本体と画面(ディスプレイ)とキーボード・マウスがバラバラのコンポーネントになっているタイプのパソコンです。 昔はパソコンといえば、デスクトップ型のみでした。わずか数センチの薄さにコンピュータ部品を納められる技術がなかったからです。 とはいえ、今も最高性能を目指そうとすると、デスクトップ型になります。 この理由は明快で、高性能なPCはかなりの電力を食うからです。コンピュータの消費電力の大半は熱となります。 最先端のパーツでは1cm角や2cm角という小さな部品が100Wとか200wといった電力を消費します。1cm角の小さな面積なのに電気ストーブ以上の熱が出てくるわけです。 パーツの耐熱温度は通常60度〜80度くらいですから、相当な勢いで冷やしてやらないと壊れます。その排熱には、どうしてもある程度の空間が必要なのです。 そういった都合もあって、今も最高性能のパソコンはデスクトップ型なのです。 また、大きな画面の利用が簡単なのもデスクトップ型ならではです。 ですので、高性能が必要な場合、大きな画面や複数画面を利用したいためにデスクトップ型を選択する方は一定数おられます。(筆者もデスクトップ型を愛用しています) デスクトップ型のもう一つの利点は、古い部品を新しく高性能な部品に交換できる点です。 パソコンのパーツはかなり標準化が進んでいますのでほとんどの部品は交換できる構造になっています。 実は、デスクトップ型であれば、十分な知識さえあれば、現在のパソコンをアップグレードできるのですが、問題もあります。前回も書きましたが、アップグレードには思わぬトラブルを抱えるリスクがあります。 身近にパソコンに詳しい方がいてトラブル時も対応してもらえるといった、手厚いサポートを受けられる環境にある方でなければ、アップグレードのメリットはないものと考えた方が安全です。 また、最近のゲームでは膨大な量の物理計算を行うものもあります。こういったゲームにはGPUと呼ばれるパーツが必要となり、事実上デスクトップ型でしかプレイできません。

3. ノート型の特徴

次にノート型パソコンです。 ノート型の最大のメリットは持ち運べることと、コンセントのないところでも使える点です。 その代わり、小さなスペースに全ての機能を詰め込むために専用の部品を利用することが多く、、デスクトップ型のような部品交換は基本的にできません。 部品変更できない点は一見デメリットですが、メリットとも言えます。 カンタンに部品交換できない代わりに購入したメーカに出せば確実に修理してもらえるからです。 また、上述のように小さなスペースしかないため、最先端の高性能パーツの利用が難しいため、同じ価格であれば、デスクトップ型よりも性能が落ちます。 落ちるとはいっても、比較の話でして、オフィス業務などの一般的な利用では全く問題ありません。問題を感じるとすれば、大規模な動画編集、設計用ソフト(CADソフトなど)などを使う場合でしょう。

4. で、具体的には?

さて、ここまでは概論の話です。 でも、いざ店頭に向かうとよくわからない数字や型番が羅列されたパソコンがズラリと並んでいます。 ほとんどの方はその内容なんてわからないと思います。 結局のところ「20万は高いけど、10万は安すぎるから15万円のパソコンにするか」といった松竹梅の竹を選ぶことになりがちです。 ですが、筆者のようなマニアから見ますと、「本当にそれでいいの!?」と言いたくなってしまいます。 もちろん、各部品の数値の意味がわかるに越したことはありませんが、そんな細かいことを覚えるのも大変ですよね。自分にとってストレスのない使い勝手を提供してくれさえすれば、それがどんな性能なのかなんて、興味ない方が大半でしょう。 皆さんがパソコンでやりたいことはこんなところでしょうか。  ・日常的にOfficeソフト(WordやExcel)は利用したい。  ・Youtubeやネット通販をストレスなく利用したい。  ・ゲームもするが、わざわざゲームを買うことはほとんどない。 まあ、基本的に現在売られているパソコンならどれを買っても上のような使い方ができないことはありませんが、それでも避けた方が良いチョイスというのは存在しています。 特に安価なパソコンにその傾向がありますので、筆者の考える「NGワード」を以下にいくつか掲げます。 NGワードというのは、これが記載されたパソコンは避けた方が無難、という意味です。 以下、箇条書きでいきます。 ・メモリ  内部の計算領域の大きさ。  →Windows11では4GBは論外。8GBも回避。   16GB以上の製品を選ぶ。 ・ストレージ  アプリやファイルを保管する領域のこと。  →SSD(半導体ディスク)は安全。HDDは回避。 ・CPU  コンピュータの計算をする部品。  メーカとしては、IntelとAMDの二強。  →Intel Core/AMD Ryzen は安全。  →Intel N100やN95、AMD Athlonは回避。  →ARMやSnapdragonと書いてあるものも回避。 ・GPU/NPU  主にゲームで必要となる部品。  たまに無料ゲームをやる程度なら考慮不要。  →がっつり最新ゲームをやりたけりゃ、自分で勉強しましょう。 ・NPU  今後、AIの利活用で使われる可能性がある機構  →現状ではほぼ使い道がないので、不要。 ・ChromeBook  Googleが開発した特殊なパソコンでWindowsではない。  →特殊すぎるので回避一択。 ・中古品  →絶対に回避!  →自らトラブルを呼び寄せるようなもの。 ・店頭展示品  →これも中古品と同様。絶対回避。 ・モバイルノート  かなりコンパクトなノート型。  →毎日持ち歩く方以外は回避。 ・互換OFFICE  Microsoft製品との互換性をうたう製品のこと。  →WPS Officeなどの製品。絶対回避。   以上を避けて選択すれば、ある程度フツーのパソコンがチョイスできると思います。

5. まとめ

パソコンの購入はかなり悩ましい話です。 パソコンの性能は、単一の部品の性能で決まるわけではありません。 全体のバランスが大切です。 デスクトップ型であれ、ノート型であれ、メーカ製の製品はバランス重視で設計されていますから、大きなハズレはないと思います。 とはいえ、中にはニッチな市場を狙った商品も存在しています。 例えば、上でも書いたモバイルノートは、毎日持ち歩く前提の製品です。 これは、軽さ(持ち歩き)を優先していますから画面もキーボードも小さく作られています。また、コンパクト化のため、接続コネクタが特殊な形状となっている場合もあります。 こういった製品は、複数パソコンを使い分ける人には便利なものの、普通の人にとっては、「帯に短したすきに長し」になりかねません。 最後にネット通販のことを書いておきます。 ネット通販はおそらく一番安く購入できる手段です。でも、自分に必要な性能を確保できなかったり、逆に不必要に高性能な製品を買うリスクがありますので、「オレはよくわからないな」と思う方は、店頭で販売員さんと話をしながら買うことを筆者はオススメします。 もちろん、取引のある業者に要件を話してチョイスしてもらう方法もあります。 業者さんはいろいろと考えて提案をしてくれますから、自分で選ぶよりも高い満足度を得られるはずです。 今回は、Windows11対応のパソコン購入方法についてお話しました。 次回もお楽しみに。 (本稿は 2025年4月に作成しました)

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